銀行口座間で手数料無料で資金を移動する方法はいくつかあります。主な方法を紹介します。
銀行の振込手数料が無料になるサービスは、使える場合には最も手軽で確実な方法といえます。ただし、無料での振込には回数制限があります。
送金額によって、おすすめの方法が異なってきます。数十万円以上の大口送金なら、証券口座やFX口座を経由する方法が便利。10~50万円程度なら、J-Coin Payやエアウォレットのようなスマホ決済アプリが使いやすいでしょう。少額の10万円以下であれば、ことら送金がおすすめです。
このほか、取引先の銀行によって使える独自のサービスもありますので、確認してみるとよいかもしれません。
ネットバンキングの無料振込回数を利用する
銀行によっては、一定の回数、ネットバンキングによる他行宛振込を無料で行える場合があります。多くの銀行で取引状況や資産残高による条件がつきますが、簡単な条件で無料振込回数が付与される銀行もあります。いくつか例を挙げます。
銀行 | 無料回数 | 条件 |
---|---|---|
東京スター銀行 | 月5回まで実質無料 (翌月振込手数料をキャッシュバック) |
「スターワン口座取引明細書」の郵送設定を「郵送しない」とすることで対象となります。 |
住信SBIネット銀行 | スマプロランク2: 月5回 スマプロランク3: 月10回 スマプロランク4: 月20回 |
スマート認証NEOを設定することでスマプロランク2になります。 簡単な条件(例えば外貨預金1米ドル、純金積立残高あり(積立は停止でOK)、SBIハイブリッド預金1円の全て)を満たすことでスマプロランク3になります。 |
SBI新生銀行 | ダイヤモンドステージ: 月10回 | SBI証券との口座振替契約またはSBI新生コネクトを設定することでダイヤモンドステージになります。 28歳以下なら無条件でダイヤモンドステージになります。 |
auじぶん銀行 | スタンダード: 月3回 シルバー: 月5回 ゴールド: 月10回 プレミアム: 月15回 |
例えば、定額自動入金サービスの利用 + 判定期間内に口座振替1回以上 + 定期預金1円以上 + 総資産残高50万円以上でゴールドステージになります。 |
楽天銀行 | 会員ステージにより月0~3回 + 給与又は年金の受取: 月3回 |
資産残高100万円以上でVIPステージとなり、3回/月無料となります。 |
三菱UFJ銀行 | Eco通帳の利用: 月1回 給与又は年金の受取: 月3回 (両方を満たす場合は月3回) |
スーパー普通預金(メインバンク プラス) |
三井住友銀行 | 月3回 | Oliveアカウント |
東京スター銀行と住信SBIネット銀行(スマプロランク2)の月5回無料が比較的簡単な条件となっています。
証券口座やFX口座を経由する
数十万円以上を手数料無料で移動するのに適した方法です。銀行口座から証券口座やFX口座に即時入金(リアルタイム入金)し、別の銀行口座に出金するだけです。多くの証券会社で出入金は無料です。注意点は次の通りです。
- 証券口座・FX口座と銀行口座の名義は同一である必要がある。
- 証券会社・FX業者によっては、対応している銀行が少ない。
- 証券会社・FX業者によっては、即時出金は有料の場合がある。(時間のかかる出金は一般的に無料)
- 証券会社・FX業者によっては、出金先銀行口座の登録を1つに限定しており、出金先口座の変更手続きが煩雑。
同一グループの証券会社と銀行間での入出金は、優遇されている場合があります。例えば、楽天証券⇄楽天銀行間では、連携サービス「マネーブリッジ」に登録することで、24時間リアルタイムで無料で入出金可能となります。これを利用して、「楽天証券が即時入金(リアルタイム入金)に対応している銀行」→(即時入金)→「楽天証券」→(即時出金)→「楽天銀行」の順で短時間で資金を移動することができます。
大手ネット証券(SBI・楽天・マネックス・松井証券・auカブコム証券)では、手数料無料での入出金に対応している銀行の数は10~20程度です。地方銀行にはほとんど対応していません。
入出金に対応している金融機関の数が多い業者としては、DMM FX があります。約340もの金融機関に対応しています。
J-Coin Payを利用する
J-Coin Payはみずほ銀行が運営しているスマホ決済サービスです。J-Coin Payの「チャージ」と「口座に戻す」(出金)機能を用いることで、手数料無料で口座間で資金を移動することができます。900以上の金融機関に対応しています。J-Con Payはネット銀行には対応していませんが、J-Con Payアプリはことら送金を行うこともできるので、ことら送金対応のネット銀行宛に送金することは可能です。
本人認証完了後のJ-Coin Payの限度額は次の通りです。
- チャージ:50万円/日
- 口座に戻す:50万円/日
- 送金:25万円/日
- 決済:50万円/回
- 残高:500万円
J-Coin Payへのチャージは24時間可能です。出金については、銀行の営業時間内の依頼分は原則として当日中、営業時間外の場合は翌営業日の着金となります。
エアウォレット (COIN+) を利用する
エアウォレットとは、「COIN+」を利用して、チャージ・支払い・送金・出金が無料でできる送金アプリです。COIN+はリクルートと三菱UFJ銀行の合弁会社(株式会社リクルートMUFGビジネス)が運営している決済ブランドです。紛らわしいのですが、エアウォレットがアプリの名称、COIN+が決済ブランドの名称です。
COIN+のチャージ・出金機能を用いることで、手数料無料で口座間で資金を移動することができます。
金融機関口座登録を行ったCOIN+の限度額は次の通りです。
- 銀行口座チャージ: 30万円/24時間あたり
- 金融機関口座への出金: 30万円/24時間あたり
- アカウント間の送金: 30万円/24時間あたり
- 支払い: 30万円/24時間あたり
- 残高: 30万円
COIN+へのチャージは24時間可能です。出金については、銀行の営業日午前10時までの依頼分は原則として当日中、それ以降の場合は翌営業日の着金となります。
ことら送金を利用する
「ことら送金」を利用することで、1回10万円までを他の銀行口座に即時送金することができます。2024年12月時点で、390の金融機関が対応しています。多くのメガバンク・地方銀行などが対応していますが、ネット銀行はほとんどが対応していません。ただし、ネット銀行でも、住信SBIネット銀行やSBI新生銀行などは対応しています。対応している銀行は以下で調べることができます。
ことら送金の1回あたりの上限額は10万円までです。1日・1ヶ月あたりの上限額・回数は銀行により異なります。例えば、三菱UFJ銀行は10万円/日まで、三井住友銀行や住信SBIネット銀行は50万円/日まで、ゆうちょ銀行は5回/月までなどとなっています。
多くの銀行ではことら送金にはBank Payアプリを使います。しかし、一部の銀行では独自のアプリを使う必要があります(ゆうちょ銀行、住信SBIネット銀行、SBI新生銀行、横浜銀行、福岡銀行、京都銀行、みんなの銀行など)。
特定の銀行で使える方法
他にも、特定の銀行で使える資金移動方法があります。
PayPay銀行→三井住友銀行
PayPay銀行から同一名義の三井住友銀行口座へは、回数制限なしで振込手数料無料です。
三井住友銀行でSMBCポイントパックの条件を満たす場合は、三井住友銀行から同一名義のPayPay銀行口座への振込手数料も無料になりますが、SMBCポイントパックの新規受付は2023年11月で終了しています。
auじぶん銀行⇄三菱UFJ銀行
auじぶん銀行と三菱UFJダイレクト(インターネットバンキング)の相互間の振込手数料は無料です。
PayPayを利用する
PayPayマネー残高は、手数料なしでPayPay銀行口座に即時出金可能です。PayPayマネーライト残高は銀行口座に出金できないのでご注意ください。
これを利用して、PayPayがチャージに対応している任意の銀行口座からPayPayにチャージし、それをPayPay銀行に出金することができます。さらに、PayPay銀行から同一名義の三井住友銀行口座への振込は手数料無料なので、任意の銀行口座の残高を三井住友銀行に集めることもできます。
限度額は次の通りです。
- 銀行口座口座チャージ: 過去24時間で100万円、過去30日間で200万円
- 出金: 1回50万円
au PAYを利用する
au PAYの送金・出金可能残高は、自動出金機能(1日1回)を用いることで手数料無料でauじぶん銀行口座に出金することができます。手動で出金操作を行うと手数料がかかります。また、auかんたん決済やクレジットカードによりチャージした残高は出金することができません。
これを利用して、au PAYがチャージに対応している任意の銀行口座からau PAYにチャージし、それをauじぶん銀行に出金することができます。さらに、auじぶん銀行から三菱UFJ銀行口座への振込は手数料無料なので、任意の銀行口座の残高を三菱UFJ銀行に集めることもできます。
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