思惑が外れて含み損を抱えても、そのうち価格が戻り、助かることがほとんどです。更に、ナンピンによって、少し価格が戻るだけで含み益に変えることが出来きます。このため、資金が潤沢にあれば、相場で負けることはありません。しかし、FXのような証拠金取引の場合、証拠金が底を付くとゲームオーバーです。FXは9割の人が退場すると言われます。ほとんどの場合、大相場でナンピンを繰り返しての退場ではないでしょうか。
価格変動が完全にランダムウォークである場合、逆張りを繰り返しても、損益の期待値は0です。しかし、為替の価格変動には復元力が存在するため、損切り無しの逆張り戦法の期待値はプラスになります。長期的なトレンドで含み損を抱えても、短期的な上下変動を上手く取ることで、トータルの損益をプラスにすることが出来るかもしれません。ここでは、上がったら売り・下がったら買いを繰り返し、損切りをしないで、含み損益がどの様に変化するのかを調べます。
売買ルール
“1つ前のポジションよりも、 pips上がれば売って、逆に pips下がれば買う”、という単純な売買を繰り返します。1回当たりの取引は、1万通貨単位(1枚)とします。
データ
ユーロドル1分足(始値)の時系列データを使います。期間は2010年1月4日から2020年8月7日までの約10年間です。
結果
始めに、の結果を次の図に示します。は100pips毎の変動で売買を繰り返すことになります。期間中、買いが612回, 売りが587回になりました。平均すると週に2回程度の取引です。ユーロドルは長期的に下降トレンドにあったため、買いポジションが少し多くなります。
青の線が全含み損益になります。オレンジ線はユーロドルの価格変動です。初期の価格から離れるほど含み損が大きくなり、初期価格に近づくと含み益になります。ナンピンのために、初期価格に戻り切れなくても、時間が経つと含み益が得られます。この期間では、最大の損が-3万pipsで、最終的な益が3.4万pipsになりました。1pipsは100円程度に相当するので、最大300万円ぐらいの含み損に耐えれると生き延びたことになります。
次にの場合(オレンジ線)を見てみます。期間中、買いが147400回, 売りが146885回ありました。平均で週に約300回もの取引を行っています。含み損益の時間変動の形は、の場合(青線)によく似ています。
若干、の含み損益の方が、右肩上がりの度合いが大きいです。これは、が小さい程、より小さな変動を取りこぼしなく利益に出来るためです。ポジションがより膨らむことが欠点で、最大で5000万円ぐらいの含み損になっています。
まとめ
含み損益に耐えれる資金があれば、損切り無しの逆張り売買は期待値的には有効です。しかし、ここでの手法(一定pips毎の逆張り売買)では、年単位で含み損を抱えることもあり、かなり長期的な戦いになる可能性があります。
逆張りの間隔()が小さいほど、損益のプラス圏を維持する確率が大きくなります。しかし、が最小単位で、スプレッドによる損失も影響が大きくなります。
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